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リレーエッセイ④ 働く目的
65歳 男性
中小企業の創業者の傍らで長年役員を務めることでいろんな経験をさせていただき、61歳の誕生月に当時85歳の母の一人暮らしもそろそろ限界かと決断し、高校までを過ごした岡山に戻りました。当時すぐにリタイヤ生活に入る気はありませんでしたが、特に何をするとも決めていなかったので、しばらくは親の跡継ぎの畑仕事や趣味のロードバイクで田舎道を疾走し、自由な日々を満喫していました。
それでも半年が過ぎる頃また社会参加したい気持ちが徐々に強くなり、改めて残りの仕事人生について考え始めました。そんな折、たまたまテレビで「おかやまシニア就業サポートデスク」が紹介されていたのを見て早速訪問。当時、社会の役に立つ仕事がしたいなどと曖昧な相談をしていたので、相談員の徳田さんはお困りになったんじゃないでしょうか。
とりあえずの登録後、新しいスタートを切る前に兼ねてから再会の約束をしていた友人を訪ねロンドンへ。日夜お気に入りのパブ通いを重ねながら、イギリス人の彼の考える仕事観や人生観と共に自分のこれからに思いを馳せていました。
そんな時、徳田さんからメールをいただき今の仕事への応募を勧められました。これもご縁と迷うことなく帰国後直ぐに面接、今の仕事が決まりました。当初は企業の障害者雇用を支援する業務、現在は企業の定年引上げや定年後の雇用継続への取り組みを支援する業務を担当しています。民間とは全く異なる独立行政法人での仕事の進め方に当初は大いに戸惑いましたが、行政の末端業務に参加しているという意識で社会参加という意味合いではそれなりの意義も感じています。
先日、業務の一環で障害者の技能競技大会「アビリンピック」の競技進行を担当しました。自分の担当は全国で初めて開催されるドローン競技。ところが選手募集に際し、現実にドローンを操縦する障害者がほとんどいないことから競技中止の危機に瀕しました。なんとか競技を開催すべく奔走し、やっと一人の参加者が現れ無事競技は開催。そして競技後の選手アンケートには一言、「楽しかったです!」と元気な文字が書かれていました。このことでドローンによる障害者の社会参加の可能性を強く確信したことと、そこに少しでも関われたことに小さな喜びを感じました。
生涯現役活躍の時代、今の業務は「希望する誰もが70歳までは働ける社会」を実現するための企業支援ですが、正に自分もその時代を生きる一人です。いつまでも現役のつもりでも今年で65歳、あと15年で確実に80歳。人生の退場期が間近です。今更ながらに感じている自分なりの働く目的とは、新しいことに挑戦する喜び、誰かの役に立てているかもしれないという喜びでしょうか。まだまだやりたいことだらけ。悔いの少ない人生にしたいです。